ブログ再開のご挨拶

コロナ禍を経て考える医療施設の新規開業と事業計画の見直し

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による混乱も一段落したことから、当社ブログを再開することにいたしました。本ブログでは、医療施設の新規開業や経営に関わる実務的な視点から、有益な情報を継続的に発信してまいります。

新型コロナウイルスの発生と日本への影響

2019年末、中国で新型コロナウイルス感染症に関する報道が出始め、翌20204月には日本国内において「緊急事態宣言」が発表されました。これにより、医療機関を含む多くの事業者が、これまで経験したことのない経営環境の変化に直面することとなりました。

2020年初頭に行った当社の判断について

当社では201912月の段階で、新型コロナに関する情報を複数の情報源から収集しており、短期間で収束する事態ではないと判断しました。

そのため20202月、新規開業に向けて既に準備が進んでいた案件については継続する一方、これから物件探しに着手する予定であった案件については、新型コロナの長期化を想定し、新規開業支援の一時中止をご提案しました。

結果として、緊急事態宣言後の医療機関の経営環境を振り返ると、この判断は一定の合理性があったと考えています。

緊急事態宣言後の医療機関経営の現実

2020年4月の緊急事態宣言以降、多くの医療機関で受診控えが発生し、外来患者数の減少による売上低下が顕著となりました。回復までに時間を要した医療機関も多く、経営面で大きな負担を強いられたケースも少なくありません。

コロナ後も変わったままの「患者動線」

新型コロナの収束後も、患者数がコロナ前の水準まで回復していない医療施設が多く見られます。受診行動の変化や生活様式の変容は、一定程度定着したと考えられ、医療機関経営において無視できない要素となっています。

新規開業における診療圏調査の注意点

従来の新規開業支援では、診療圏調査に基づく「1日推定外来患者数」を前提に事業計画を策定することが一般的でした。しかし、コロナ禍を経た現在では、従来型の数値をそのまま用いると、想定と実態に乖離が生じる可能性があります。 新規開業にあたっては、詳細な診療圏調査により慎重かつ現実的な事業計画の数値設定が不可欠です。

コロナ前後の外来患者数の実態調査について

当社では今後、過去に開業支援を行った医療施設を対象に、新型コロナ前後での1日外来患者数の変化についてヒアリングを行い、実態の把握と分析を進めていく予定です。

この調査結果を踏まえ、コロナ後の時代に即した新規開業支援・事業計画の立案に活かしていきたいと考えています。

今後のブログ運営方針について

来年は、医療や政治・経済・金融といった分野においても大きな動きが予想されます。医療経営はこれらの影響を受けやすい分野であるため、本ブログでは最低でも月1回を目安に、医療施設の開業・経営に役立つ情報を発信してまいります。

まとめ

新型コロナは医療機関経営に大きな影響を与えましたが、その影響は現在も完全には解消されていません。今後の新規開業においては、コロナ前の常識にとらわれない、現実に即した事業計画が重要となります。

それでは皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。